民間資格や国家資格を取得するだけでは、ドローン運用に必要な知識としては不十分です。
何が足りないのでしょうか?先に結論の一つを述べると、【法律】です。
知識として必要不可欠だとわかっていても、
- 「法律となると難しいなあ」
- 「面倒だな」
そのようなことが頭に浮かび、無意識に思考を停止させていませんか?
実は面倒なことだからこそ、覚えることでドローンパイロットとしての価値が上がるのです。
なぜなら、知識なく飛行させれば、【ただの野良パイロット】と呼ばれる存在になりかねません。
また、違法飛行で処罰を受ける可能性も出てくるからです。
本記事では、ドローンパイロットが知っておくべき河川法に焦点を当て、以下の項目について解説していきます。
- 河川法についての概要
- 河川や河川敷でのドローン規制について
- 許可・承認の取得方法と申請先はどこか
この記事を読むと、河川法の理解と【許可や申請】といった手続きの方法までわかります。
結論、河川法は「河川や河川敷でドローンを飛ばすなら知っておかないとマズイ」ということです。
この記事を読んで、知識豊かで【カッコいいドローンパイロット】になりましょう。
自己紹介
私は何者か?ということで、少し自己紹介をさせてください。
- 国土交通省認定のドローンスクールDPAで回転翼3級を取得(ドローン操縦士に必要な民間資格)
- ドローン歴(現在は活動休止中)
- 活動拠点は主に兵庫県内
- DJI製ドローン【Mavic 2 Pro】が愛機
YouTubeに空撮動画のチャンネルも開設しているので、そちらもご視聴ください。
なおさんのドローンチャンネル ←YouTubeはこちらから
以下の資格もドローンに関するものになり取得済です。
河川法とは
法律以外にも守るべきことはたくさんありますが、今回の記事で紹介するのは『河川法』という法律です。
河川や河川敷でドローンを飛ばすなら、航空法以外に河川法という法律を守らなくてはなりません。
ドローンを飛ばせそうな河川敷が見つかったら、次はその河川や河川敷を管理している管理者(管轄)はどこなのかを調べましょう。
調べる理由は、河川や河川敷が河川法に基づき、国や県、市町村によって管理されているからです。管理されている土地であれば、管理者に飛行可能な場所であるかを確認しなくてはなりません。
はじめに河川法について、簡単に説明をしたいと思います。
河川を管理する法律
この法律は、河川について、洪水、津波、高潮等による災害の発生が防止され、河川が適正に利用され、流水の正常な機能が維持され、及び河川環境の整備と保全がされるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もつて公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする
引用:河川法 第一条より
上記を目的として1946年(昭和39年)に制定された法律です。
河川別 河川の管理・管轄
河川は、一級河川・二級河川・準用河川・普通河川の4つに分類され、それぞれ管理している管理者(管轄)が違います。
| 河川別 | 管理者 |
| 一級河川 | 国土交通大臣 |
| 二級河川 | 都道府県知事 |
| 準用河川 | 市町村長 |
| 普通河川 | 地方公共団体 |
河川ごとに管理者(管轄)が違うため申請先もそれぞれ違ってきます。
河川の使用について
河川は、公共用物であつて、その保全、利用その他の管理は、前条の目的が達成されるように適正に行なわれなければならない。
引用:河川法 第二条より
河川は公共のものであるため、原則は誰もが自由に使用することが認められています。
河川法自体はドローン飛行を禁止とはしていません。
しかし、河川や河川敷を管理する国、都道府県等に確認を取る必要はあります。
冒頭でも書きましたが、管理されている土地の上空を飛ばすのであれば、管理者に確認し必要であれば許可・承認を得なくてはなりません。
河川や河川敷でのドローン規制について
ここでは私が活動拠点としている地域を例に、河川や河川敷におけるドローン規制の現状をご紹介します。
多くの市町村・行政では、河川法におけるドローン飛行について明確に触れていない場合があります。
飛行が認められている事例
- 兵庫県姫路市に流れる市川(二級河川)は、「河川敷の使用は自由であるため規制はしていない」と回答をいただいています
※中播磨県民センター姫路土木事務所へ確認済み
姫路市の『市川 河川敷』については以下の記事をご覧ください
- 兵庫県三木市に流れる美嚢川(一級河川)でも、ドローン飛行と撮影は可能です
※北播磨県民局加東土木事務所へ確認済み
三木市吉川町の『黒滝』については以下の記事をご覧ください
どちらも航空法や基本ルールに則ったうえでの話です(市川、美嚢川とも電話確認のみでOKをもらいました)。
ただし飛行可能な場所であっても、管理者が届出の提出を求めるならば、届出を提出しなくてはいけません。
特にダムや水門等、河川管理施設がある場所は、ドローン飛行可能でも届出が必要になります。
飛行が禁止されている事例
確認は管理者または行政へおこないますが、飛行可能な河川・河川敷もあれば、行政によって飛行禁止を定めている河川(一部の地域)もあります。
- 兵庫県加古川市の『加古川河川敷緑地』は飛行禁止と定められています(加古川市都市公園条例に基づくもの)。
その他の地域でも市や県の条例により、飛行禁止となっている場所は多々あります。
河川法ではドローン飛行を禁止とはしていませんが、その河川を管理する行政が禁止にしているなら、それに従わなくてはならないということです。
兵庫県内で例にとって紹介しましたが、河川・河川敷のドローン規制は河川により異なります。
飛行練習ができそうな河川敷(場所)を見つけたら、その河川を管理する行政に必ず確認してみましょう。
許可・承認の取得方法と申請先
最後に河川管理者や河川管理施設、行政への申請の方法と申請先をご紹介します。
河川を管理する管理者(管轄)が違っても、基本的な申請手順は共通しています。
申請方法:まずは電話で問い合わせる
- まずは電話で問い合わせをする
- 電話で許可が取れたならここで終了
- メールでやり取りを求められたら、メールアドレスを交換し、やり取りをする
- エクセルによる記入フォーマットなどの添付資料があれば、必要事項を記入して返信する
- メアドのスペル間違いがないようにしましょう、メールが届かないと二度手間になります(経験あり)
- FAXによる書面のやり取りを求められたら、FAXにて必要事項を記載した用紙を相手方に送信する
- 記載事項を相手に確認するなどして、記載もれがないようにしましょう
- 書類を郵送でのやり取りを求められたら、こちらの住所、氏名を伝え、相手方の住所、担当者の氏名を聞きやり取りをおこなう
- 送り先と相手の氏名は間違えないようにしましょう
まずは電話で問い合わせから始めましょう。
次にメールやFAX、郵送など河川管理者から指示があれば、指示された内容でやり取りすれば問題ありません。
私は上記4つの方法のどれかで、やり取りをしてきました。
管理主体によって対応は異なるため、都度確認を行い、スムーズに手続きを進めましょう。
申請先:河川の管理者へ連絡する
- 土木事務所
一級河川は国土交通大臣、二級河川は都道府県知事が管理となっていますが、各都道府県の土木事務所へ連絡すれば、それぞれの管理組織に繋いでもらえます
私は、市や県の土木事務所に連絡しています - 市町村役場
その他では、河川のある市町村役場に問い合わせるのも良いでしょう - 観光協会
観光地、景観地付近では都道府県の河川管理とは別に、観光協会が管理している場所もあります - 河川管理施設
ダム、堰、水門、堤防、護岸、床止め、樹林帯を指す河川管理施設へ書類の提出が必要な場合もあります
特にダムを撮影するなら、ダム管理事務所に問い合わせましょう
以上が私自身で許可・申請をおこなってきた方法です。
正直に言うと「面倒くさい」これが本音です。
ですが、面倒を乗り越えた先のメリットのほうが2倍、いや3倍と、より大きくあなたに返ってきます。
そして許可・申請が下りたというのはあなたの実績にもつながるのです。
しっかりと準備して安全に飛行できる環境を整えて連絡すれば、飛行可能な場所はたくさんあります。
頑張って申請していい映像を残してくださいね。
同じ要領で、海や山、滝など撮影する際に応用できます。
申請時の注意点
少しだけ申請時の注意点をアドバイスします。
確認した行政や、対応した職員によって「OK」という人もいれば「NO」という人もいるでしょう。
対応した人の判断基準が異なることも考えられるので、メールのやり取りができるならメールで残す。
電話なら、担当者の名前と電話した日時を控えるようにしてください。
これは言った言わないのトラブル回避に繋がります。
まとめ
「法律」と聞くと難しく、つい避けてしまいがちです。
河川や河川敷でドローンを安全に飛ばすためには、航空法だけでなく「河川法」というルールを理解しておく必要があります。
この記事では、河川法が「災害を防ぎ、みんなが川を大切に使うためのルール」であり、ドローン飛行自体を禁止しているわけではないこと。
そして飛行に必要な管理者への確認方法や申請手順を、具体例を交えて解説しました。
面倒な手続きを避けていると、知らず知らずのうちにルール違反をしてしまう「野良パイロット」になりかねません。
しかし、この「面倒」を乗り越えて行政への確認や申請を行うことは、あなたの実績となり、より多くの場所で堂々と空撮できる未来へと繋がります。
あなたは、必要な知識と手順を習得したことで、違法飛行の不安から解放され、心からドローンライフを満喫できるという大きなメリットを得られます。
飛行の「許可」と「承認」の違いなど、正しい知識をさらに深め、安全で楽しいドローンライフを築きましょう。
おすすめ記事
コチラの記事も参考にして、間違った知識で飛ばすことがないようにお願いします。
『許可』と『承認』似ているようで違います。
その辺りについて詳しく記事にしました。




